小説読後の記録棚

宇谷が小説を読んで抱いた感想を書いていきます。

『ヴェールドマン仮説』 西尾維新

f:id:chainbook:20210529213318j:plain情報

西尾維新100冊目の小説。

探偵一家、吹奏野家次男である「ぼく」こと吹奏野真雲が連続殺人事件の謎を追う。


感想

ころころ変わる状況にページを捲る手が進む一作。久々にシリーズでない西尾維新の作品を読んだ。語り口の西尾維新節は変わらず、すらすら〜と読めて楽しかった。キャラクターも良い。

西尾維新を読む時はいつもそうなのだけれど、アニメを文字で読んでいるような、そんな体験をしている気分になる。今回は米山舞さんの装画で吹奏野一家全員のビジュアルを得ていたから尚更かもしれない。最近読んだ美少年探偵シリーズも同じく。

もちろん、小説なのだから文字で書かれている情報から想像するのが醍醐味とも思う。装画なしの小説が実写化やアニメ化された時、想像していたビジュアルとの差に愕然とすることも多々ある。けれど、西尾維新の作品はキャラクターの癖が強かったり、強いが故に掴みどころが無かったりするからビジュアルが欲しくなるのかもしれない。キャラクターを掴むための指標としてその見た目というのは重要なファクターになると思うからだ。


なんて。

あかんあかん。西尾維新を読むと、ついついこんなよく分からない理屈をこねたような、捻くれている風の文を書きたくなるんです…。語尾に「戯言だけどね」とか付けたくなるんです…。厨二病年代に西尾維新に出会ってしまったが運の尽き。戯言シリーズは今も大好きなシリーズの1つです!欠陥製品に人間失格。右目が疼きますね、ひゃっほい!


何を言ってるんや。

好きな物の話になると舌が回りまくるのも悪い癖です。これでもまだまだ語りたいことは多いけれど我慢していると言い訳をしつつ、ヴェールドマン仮説の話に戻りましょう。

今回の主人公は吹奏野家次男である真雲。吹奏野家の家事全般を担う25歳無職。そんな彼はスーパーで知り合いのシングルマザーから死体を発見した、という言葉を聞き現場に向かう…。

端折ってますがこんな感じ。実はこの死体は以前起きた事件と繋がりがあるようで…?と、連続殺人事件を解き明かしていくんですが、本当にどんでん返しだらけで飽きなかったです。犯人を予想しながら読む事を放棄して、純粋に楽しんでいました。幕間を挟んでミスリードするのも流石だなぁ。


自身100冊目の著作!ということで今までのキャラクターオールスター!とか、何かとんでもないことをするのかな?とか頭の隅っこの隅っこで考えてもいましたが、変わらず単発物といった感じでした。

仮説シリーズって言ってたけど続編出てないですよね?真雲くん以外も良いキャラしているからぜひ読んでみたい。というか西尾維新なら米山舞さんの装画目当てに続編出しそう、とかちょっと思ってしまいました(笑)。


最後になるにつれ、「えっ、あとこんだけしかページ無いけど、これ、終わる…?」と別な意味でドキドキしながら読んでいたことを添えて、感想終わり!