『短劇』坂木司
情報
ショートショート集。全26編収録。
感想
ほんと、びっくりした!
坂木さんは高校生の時に司書の先生にオススメしてもらった『青空の卵』で知り、ひきこもり探偵シリーズ3作は読破しました。そしてこのシリーズは今でも大好きな作品の一つです。
なので、坂木司さんは優しい話を書く人、という印象だったので「さて、どんな心温まるストーリーが待っているのかな…」と読んでみたらあれまぁびっくり。
最初は「?」くらいだったのが2,3作目くらいから「???」になって、最終的には「!最高!!!」となってましたね。
正直心あったまるストーリーを求めていました。坂木さんはショートショートでも優しい物語を書くんだろうな、とそう思っていました。
でも、良い!このショートショート、とても良いです!!!この毒味と苦味と酸味をごっちゃ混ぜにして咀嚼した後に舌にじゃりざりっと嫌な物が残る感じ!たまらんです!!
内容はもちろんなのですが、一話一話が短いのも良かった。後味が悪い話とかでも短いので胸が気持ち悪くなるとかもなく、スッキリ読めます。あと、通勤中の電車内で「よし、この一編だけ読もう」と思って読み切れるのは良いですね。勤務中に続きが知りたくて知りたくてムズムズする、というのも無くとてもストレスフリー。とはいえ「次はどんな嫌〜な話なんや?」と次の話が読みたくてうずうずはしましたが(笑)。
ここ数週間の通勤のお供にしていたのでとても楽しかったです。これからはショートショートをお供にするのもありかもな、と思いました。
それと、私は文庫版を読んだのですが、解説もとても分かりやすく、面白かったです。ミステリ評論家の千街晶之さんが解説されていたのですが、読みやすいし分かりやすいしで良かったです。結構解説は読み飛ばしてしまうタチなのですがこの本の解説は面白かった。坂木さんの読んでいないシリーズも読んでみよう、という気になりました。
坂木さんの作品をもっと事前に読んでいたら更に「さ、坂木さん…?ご乱心…?」と思ったのかもしれないな(笑)と思いつつ。
他の作品を読む時にこの短劇を思い浮かべて「くくく」と笑えるのも、それはそれで楽しそうだなと思うのでした。