『推し、燃ゆ』宇佐見りん
情報
推しの炎上を受けた一人の少女の話。
第164回芥川賞受賞作
感想
読み始めてすぐ、というかページをめくってすぐ、重力ピエロが頭を過った。忘れられない例の冒頭。この作品のこの二文も脳内にこびりついて、たとえ内容の細かいところを忘れても、ふとした時に蘇るんだろうな〜という感覚。掴み最高でした。
直木賞と芥川賞だと後者は手が出せなかった(というか何度か挑戦したけど挫折してしまった)ので、今作もずっと気になってはいたのですが読むまでに至らなかったのです…。が、ふと読みたくなって読んだら面白かった〜!最後まで数時間でいけました。
一気読みできる長さな上に、内容も親しみのあるものだったので尚更読みやすかったのかも。「推し」という存在がいる、少女の話。生活もままならない、家族ともうまくいかない、でも「推し」を推すことだけは濁らずに出来る。そんな痛々しい少女の世界に見えない状態でついていた傷が「推しの炎上」で一気に蜘蛛の巣状にヒビが広がっていく…。色んないや〜なものをぐるぐる混ぜて煮込んでそのまま放置した感じ、素晴らしかったですね。
今追いかけているものとか、日常に侵食するくらい接している娯楽が無くなったら、自分ならどうなるんだろう。と考えてみたけれど、よく分からんな〜。ま、その時にならな分からんしな。とお気楽に思ったりしつつ。主人公がブログを書いているのを見て感化され、とても久しぶりにブログを書いたのでした。