小説読後の記録棚

宇谷が小説を読んで抱いた感想を書いていきます。

『推し、燃ゆ』宇佐見りん

情報 推しの炎上を受けた一人の少女の話。 第164回芥川賞受賞作 感想 読み始めてすぐ、というかページをめくってすぐ、重力ピエロが頭を過った。忘れられない例の冒頭。この作品のこの二文も脳内にこびりついて、たとえ内容の細かいところを忘れても、ふとし…

『短劇』坂木司

情報ショートショート集。全26編収録。感想ほんと、びっくりした!坂木さんは高校生の時に司書の先生にオススメしてもらった『青空の卵』で知り、ひきこもり探偵シリーズ3作は読破しました。そしてこのシリーズは今でも大好きな作品の一つです。なので、坂木…

『名探偵の証明』市川哲也

情報30年前に活躍した伝説の名探偵、屋敷啓次郎。現世から隠れるようにして暮らす彼にかつての相棒は現代の名探偵、蜜柑花子との対決を持ちかける…。第23回鮎川哲也賞受賞作。感想鮎川哲也賞受賞作を読むのは、多分これで4作目なのですが、今のところハズレ…

『ヴェールドマン仮説』 西尾維新

情報西尾維新100冊目の小説。探偵一家、吹奏野家次男である「ぼく」こと吹奏野真雲が連続殺人事件の謎を追う。感想ころころ変わる状況にページを捲る手が進む一作。久々にシリーズでない西尾維新の作品を読んだ。語り口の西尾維新節は変わらず、すらすら〜と…

『蝉かえる』 櫻田智也

情報昆虫好きな青年、魞沢泉(えりさわ・せん)がさまざまな場所で起きた謎を解き明かすシリーズ二作目。連作短編集。感想いや、ほんと、おもしろい!!今作が日本推理作家協会賞を受賞したのをきっかけにまずは前作を…と思い、読んでみたらめちゃくちゃ面白…

『亜愛一郎の狼狽』 泡坂妻夫

情報亜愛一郎が主人公の短編集1冊目。泡坂妻夫デビュー作『DL2号機事件』含む短編8作を収録。感想櫻田智也『サーチライトと誘蛾灯』がめちゃくちゃおもしろく、魞沢が「ブラウン神父、亜愛一郎に続く…」と紹介されているのを見て、長らく気になっていた亜愛…

『狩人の悪夢』 有栖川有栖

情報火村英生シリーズ長編大ヒットホラー作家、白布施との対談がきっかけで彼の家を訪問することになった有栖川有栖。必ず悪夢を見るという部屋に泊まった翌日、白布施の元アシスタントが住んでいた家で右手首のない死体をアリスは発見する。感想手首のない…

『盤上に君はもういない』 綾崎隼

情報長編。前人未到の女性棋士を目指す2人の女性(諏訪飛鳥・千桜夕妃)を描いた物語。感想将棋一家に生まれ、将棋のためだけに生き、女性初の棋士を目指す少女、諏訪飛鳥。彼女の取材を行う記者、佐竹亜弓の視点から物語が始まる。最初の一文を読んで、「う…

『ペルシャ猫の謎』 有栖川有栖

情報 臨床犯罪学者火村英生と推理作家有栖川有栖のコンビが活躍する「火村英生シリーズ」。 この本はエラリィのシリーズをオマージュした「国名シリーズ」の5冊目。短編集です。 率直に感想 シリーズの中でもこれは異色だと思う。 有栖川有栖の火村シリーズ…